フェイバリットまりりん⑤
さて、まりりん。
アイドル編です。
[マリヘラス!]ではアイドル曲もよく歌われる。広くみれば半分くらいはいわゆる“アイドル”と呼ばれる人の曲ではないかな?
[松田聖子]や[中森明菜]は定番、[南野陽子][おニャン子クラブ][光GENJI][岩崎良美]等々、80年代デビュー組が中心だ。
アイドル曲は、実は難しい。馬鹿にする向きもあるが、その“拙さ”だったり“幼さ”だったりの表現はその人でしかだせない、独特な世界を形成して存在する。“ヘタさ”は強烈なインパクトでもあり、“ヘタさ”を上手くアピールする術を持つことは特殊な才能だ。音楽以外の要素も重くのしかかる。
[姫乃木リカ]
『ニュートンの林檎』
2023年3月24日配信
[姫乃木リカ]は歌唱力の高いアイドルとして評価されていたらしい。大ブレークはしていないが、確かに歌は上手いし、シングル曲はかなり良い曲ばかり。
『ニュートンの林檎』はB面曲で、シティポップ風の大人っぽいイメージだ。サビ部の
♪素早く落ちそうよ
のフレーズがクロマチック(半音階的)なメロディーで、音感が怪しいと外し易いかなと。[まりりん]もこれ以前の歌唱では盛大に外している(笑)。これをようやくクリアした歌唱。そして、やっぱり素晴らしい。
[まりりん]自身、[姫乃木リカ]に対する思い入れは相当あったようで、他の楽曲も数曲歌っている。完成度はそちらのほうが高いのだが、僕が勝手に思う[まりりん]らしさを感じてこの選曲に。
[森口博子]
2023年1月19日配信
なんと[ニール·セダカ]の作曲とは…僕もぎりぎりガンダム世代のはず?だが、知らなかった。良い曲。抑制を効かしスタートしサビで少しグッと上げるのだが
♪心にうずもれた
の「たー」が上がりすぎる[まりりん]、次のフレーズのコントロールを乱し気味。この日は抑えられたクールな歌唱。声量バランスが難しいが座り歌いが功を奏したか?
朗々と歌う[森口博子]の他曲のほうが[まりりん]向きかもしれないが、曲の良さはコチラ(個人的に。[ニール·セダカ]に思い入れはない)。
[斉藤由貴]
『MAY』
2023年11月7日配信
これは…難しい歌で、“演技力”みたいなものも加味されなければいけない。2コーラス目のサビ
♪だけど 好きよ 好きよ好きよ 誰よりも 好きよ
がこの曲の“キモ”で、ここをどう表現するかが聴きどころ。掠れさせるぐらいに抑え、セリフのように。それでも繊細で内省的な少女の精一杯の感情の発露…
メルヘンチックな雰囲気でフワフワと歌うだけでは何か足りない…作詞者[谷山浩子]の世界観が“深くて暗い”との解析もあり、「“MAY”って誰?」の答えがない。「鏡の中の自分」ならば、“怖い歌”とも言える。そりゃ難しいやろな。
今回は図らずも「ダメ出し」みたいな言い方にも聞こえて、「誰が言うてんの?」って話だが、いちファンの戯れ言。歌い手はそんな事いちいち考えなくても良くて、理屈やファンの戯れ言より、その詞、世界観を“感知”すればいい。“勘”“感性”だ。
[まりりん]は数回歌えば自分のものにできちゃう人、特殊能力者的な歌の人。
[マリヘラス!]の楽しみは、その歴史を垣間見ることもひとつだ。
“アイドル”とは「偶像、崇拝される人」とのこと…
[まりりん]は“アイドル”である。