時代の音

僕が邦楽を聴かなくなったのは、[シブがき隊]のせいである。

バンドを始めたばかり、海外ハードロックバンドのコピーから。[ディープ·パープル][レインボー][マイケル·シェンカー·グループ][ヴァン·ヘイレン][ゲイリー·ムーア]…

「洋楽を知っている」ことが嬉かった。それまで[ザ·ビートルズ]すらほとんど聴いたことがなかったのに…

[ナイト·レンジャー]というバンドのデビュー曲『don't tell me you love me』をコピーし、ライブのレパートリーにしていた。ある時、テレビからその曲のイントロが…「テレビで洋楽とは珍しい」と視線を向けると、[シブがき隊]だった。

「イントロ丸パクリやん!」

「[シブ楽器隊]って…」(バックバンド)

 

唖然とした。

よく「日本のポップスは海外の真似」との話は聞いていたが、ここまであからさまなパクリは初めてだった。

 

もちろん[シブがき隊]は悪くない、それを許す業界の空気が気持ち悪い。「ジャニタレだから」とか「アイドルだから」で放置したクリエイティブ界に絶望したのだ。

「あぁ、恥ずかしい…」

それを機に僕の中では洋楽と邦楽は反比例して解離がグンと加速する。洋楽が正解…

 

しかし、洋楽を知る前は普通に日本のヒット曲は好きで、『ザ·ベストテン』『夜のヒットスタジオ』『ザ·トップテン』は楽しみにしてた。ラジオもマメにチェックした。

以前記述した[キャンディーズ]はもちろん、[甲斐バンド][八神純子][渡辺真知子][世良公則&ツイスト][ゴダイゴ][沢田研二][山口百恵]…

中学時代は[アリス]だった。そこから派生して浅くフォーク·ニューミュージック系へ。

 

80年代にバンドを始め、洋楽を知る。ルーツを追って過去に遡るクセがつく。

[ウッドストック][ヒッピー][Love Peace &Flower]に憧れた。

 

80年代が“嫌い”と感じた。

革命的な変化を受け入れられなかった。

 

[ゲートエコー](ゲートリヴァーブ)

 

ドラムをやっていたので特に…か、“生音”から外れる操作はいらないと思った。

自分の中の保守的な部分が拡張して頑固になって、ますます80年代以降の、殊更邦楽をさけていった。変化に付いていけてなかった。

 

でも、今ではそれも“時代の音”として楽しめるようになった。

寛容になったのか?

 

[まりりん]を知り、昭和歌謡などを聴き出してその“面白さ”に気付かされた。そして最近知ったもうひとつ気付かされたこと、

我が[キャンディーズ]のブレイク曲、『年下の男の子』が[トム·ジョーンズ]の『somethin' ’bout you baby i like』のパクリだった…

 

もう、微笑ましく受けとれる僕である。