おどす風

今年(2024年)は元日から大きな地震能登地方であり、多数の被災者を出した。

「また、あの曲を聴くことになるのか…」

あの曲とは

満月の夕

 

すっかり“震災ソング”として定着した感があり、なんかモヤモヤしてしまう。

良い曲だし、創作された経緯や歌詞から、そうなるのは仕方ないのかもしれないが、あまりテンプレート化はよろしくない。

東日本大震災時はもっと自然発生的に歌われたり聴かれた、求められた。“曲の力”を感じた。

 

♪かなしくて すべてを わらう

 乾く冬の夕べ…

 

 

阪神淡路大震災

僕の知人も被災し縁者を亡くしている。

なにもできなかった、茫然として…

「あのお洒落な神戸が…」

 

少し落ち着いた頃、友人と神戸を訪れた。まだ車道も片付いておらず、下道(国道43号)を気をつけながら進む。舗道に粗末なテーブルと七輪で営業していた焼肉屋を見つけ、食べた。

視ておかなければ…と駆り立てられる思いで何度も行った。モトコー(元町高架下商店街)、[チキンジョージ]、北野坂…特殊な浴場の壁の大きなヒビ。

 

[ソウルフラワー·ユニオン]は大阪を拠点に活動していたので、震災後ただちに避難所慰問を[ソウルフラワー·モノノケ·サミット]として開始、もちろん避難所に音響を保証するPA設備などあるはずもなく、機動力も兼ねて“チンドン”スタイルで『美しき天然』『聞け万国の労働者』『デカンショ節』など高齢者が知る選曲で廻る。

 

[ニューエスト·モデル]の頃から反体制的歌詞もふんだんで「テレビは無理極左バンド」のレッテルを貼られていたらしく(本質はアナーキズム、でしょ?)、未だに観ることはほとんどない。それでいいし、それがいい。

 

重要な点として、この曲には歌詞が二種存在すること。

作詞作曲欄をみると、両欄とも

[中川敬 山口洋]とある。

「山口って誰?」

邦楽音痴は知らなかった。

[ヒートウェーブ]というバンド…

ソウルフラワーバージョンは現場視点、

ヒートウェーブバージョンは少し離れた場視点。

「距離的感覚の差」らしいが僕にはヒートウェーブバージョン、「少しくどい」と感じた。お好きなほうで…

[うつみようこ](元ソウルフラワー·ユニオン)は歌詞混在型だ。([ガガガSP]バージョン?)

 

そしてもうひとつ避けられない、“琉球色”だ。チンドン太鼓と共に三線(さんしん)がフューチャーされている。ライブなんかでは様々な楽器でチャンプルーですな。

囃しことば「ヤサホーヤ」「あーいーやーさっさー」も歌詞に入る。

神戸には沖縄出身者地域(大阪市大正区のような)はなかったはずだが、琉球風味をまぶされたこの曲で違和感があまりない不思議。

 

避難者と共に当然音楽家の心にも響き、多くのカバー作品が聴かれるようになった。

 

♪解き放て 命で笑え 満月の夕

 

[鎮魂歌]としてだけではなく聴かれますように…