ギターソロの効能

ハードロックバンドの主役はギターリストだ、速弾きの。

ヴォーカルは二番手、三番手。歌詞は大抵大した事は言っていないし。([王様]の直訳ロックなんてあったな)

ギターソロが曲のハイライトで、「速い!」「難しそう!」「カッコいい!」と盛り上がっていたな~、ギター知らんくせに。

[リッチー·ブラックモア][マイケル·シェンカー][エディ·ヴァン·ヘイレン]などがヒーロー。

後に所謂[三大ギターリスト]やジャズ·フュージョン系、ブルース系、アコースティックギター系etc…聴く幅が拡がり認識が新たになるにつれ、“速弾き”で盛り上がっていた過去を「なかったこと」にしていった。それがダサいのだが…「ヘビメタ?あんま知りませんけど」ヅラしてた。うーん。

 

そんな中でも今もたまに聴きたくなる曲がある。

[マイケル·シェンカー·グループ]

『ダンサー』

ハードロック曲にしてはヒットした方だと思う。メロディアスでポップなのだ。

そして、ギターソロが超かっこいい。

ヴォーカルが[グラハム·ボネット]、驚異のハイトーンと圧倒的な声量で存在感は凄かった。

短いドラムフィルスタート、ヴォーカルメインのAメロの後すぐにサビ、2コーラスやり、ツナギ部分シンプルなリフ、ヴォーカルが加わり徐々に登っていく。「くるぞ!くるぞ!」グラハムのシャウトにマイケルのチョーキングがかぶさってギターソロの始まりだ!メロディアス過ぎず渋さもあるラインで攻める。中間、ドラムがツーバス16分打ちに移行、ギターはラインを引き継ぎつつ加速感も足され、しかし落ち着かせて纏める。ラスト1コーラス後盛り上げてザクッと終わる…

「ハイ完璧!」

このギターソロがトップクラスに好きなのにはもうひとつ、ドラム[テッド·マッケンナ]の仕事っぷりがいい。

スネアの音がベタっとしていて好きなドラマーではなかったけど、もうこの一曲で“センス有”認定してしまった。(偉そうに上から)

 

現在のハードロック界がどうなっているのか知らないが、過去確かに在った“様式美”を否定しきれない。でも、自由に変えてもいいし様式に沿うのもまた自由。己のセンスを頼りに。

ジャズでもそう、ビ·バップ、ハード·パップの頃の定型ソロ回しが意味を成さないと言うのなら、あの緊張感を含まない演奏は、社交ダンスの伴奏みたいになってしまわないか?

 

このあたりに《音楽の魔力》の一端があるのだろう。