アンデスの星

またまた昔のテレビの話…

『おはよう700』だったかのタイトルで、そのいちコーナーに『キャラバンⅡ』というのがあった。それはたしか南北アメリカ大陸を車で縦断するというので、その立ち寄り、通過時にそれぞれの現地の音楽をBGMに使っていたと思う。南米アンデス辺りは当然、[フォルクローレ](あたりまえだが後に知る)で、それがすごく聴きたかった。意識して聴いた音楽のいちばん古い記憶。

[サイモン&ガーファンクル]の『コンドルは飛んで行く』は有名だが、現地のものではなくまったくのオリジナル、アンデス風。しかし、良くできた曲だ。もうひとつ[フォルクローレ]の定番は『花祭り』という曲で、これは現地曲。“チャランゴ”(ウクレレ風の弦楽器)や“ケーナ”(笛)で演奏されることが多い。ただ、観光客相手にし過ぎて、やや残念な調べに…こんなんあるよね。

[フォルクローレ]とは英語にすると[フォークロア](民謡)とのこと。アンデス民謡はペンタトニック(5音音階)で、日本と同種。また、インディオのルーツがモンゴロイドということもあってか、子供心にもなんか響いたということはあるかも…と、面白がっている。

 

アルゼンチン出身の[アタウアルパ·ユパンキ]という人、“フォルクローレ”とカテゴライズされるが、ちょっと違う印象だ。ギターの弾き語りが主で、アンデスの民謡を下敷きにオリジナル曲を歌う。しかし決して曲の形式を弄ったり、変えたりしない。歌声は“素朴”そのものながら、深く濃い。歌詞は農民や牧夫の心情であったり、アルゼンチンの自然を歌ったものがほとんどで、人生の後半はヨーロッパに暮らした(政治的迫害?)が、全然プロテストシンガーではない。

弾き語りの相棒、ギターがまた素晴らしく、クラシックギターの下地があって、ハーモニーをプラスしたうえで、随所にカッティングでリズムを着ける。そしてあの声がのる。これが単に伝統踏襲だけではない、ユパンキの唯一無二なところだ。

[民謡+クラシック]は大抵うまくいかないが、ユパンキは越えて独自の世界を築いた。[エリック·サティ]と並び僕の音楽最高神だ。シンプルで複雑、聴いていると何かに包まれているような“憩い”を感じる。

[アタウアルパ·ユパンキ]

英米ではほとんど知られていない。日本では『人類の遺産』として8枚組のCDなど発売されている。

[ユパンキ]のCDを「全部買いだ」と意気込んで買ったもののなかには(輸入盤)“ポエトリーリーディング”(詩朗読)ものもあった。で、これはさすがにキツいか、よくチェックしてね。今の人はそんなことないか。