饒舌なベース②

「ベーシストはおしなべて変態である」と言うつもりはないが、環境はそちら方面に向かってもおかしくない。

「楽曲の背骨」であるので、はみ出せないのに評価されにくい。

ワントーン楽器のジレンマ、ハーモニーの一端でしかいられない。ソロでのアピールが弱い、そもそも役割、重要度を一般リスナーは関心ない。一音でも外すと曲が潰れる…などなど職人的満足感と承認欲求の間で狂おしく身をよじり、“変態性”を育む。「聖職の犯罪者」っぽい?

“へんたい”と呼ばれることを甘受する人はまだ少ないとは思うが、昨今は容認されつつあり、エスカレートして競い、個性の表明くらいのアピールポイント感も出てきた。実は、誰しもが備える“変態性”の理解が多様性の…また、前置きが長くなってしまった…変態ベーシストですな。

 

[ミック·カーン]

ビジュアル系バンドの元祖?[ジャパン]のベーシスト。ソロ作に変態フレーズ満載で、後期、中近東風味をまぶしたミクスチャーサウンドは一聴きで[ミック·カーン]と判る超個性で、ベースをいかす作編曲とは…と考えるのも楽しくなる。「いかにも」過ぎてスベってる曲もあるが、[ジャパン]の再結成ユニット[レイン·トゥリー·クロウ]は傑作。

 

[パーシー·ジョーンズ]

超絶ジャズロックバンド[ブランドX][トンネルズ]在籍([トンネルズ]は未聴)。とにかくバカテクベーシストで、タイプは違うがジャコ以上かもと…ベーシスト諸兄の見解が知りたい。[ブランドX](ドラムはあの[フィル·コリンズ])は曲が面白い訳ではなくて、技量博覧会的な興味からのみ。聴くべきは[ブライアン·イーノ]の“アンビエント”前夜の名作『アナザー·グリーン·ワールド』の一曲目。4つのコードを超シンプルなリフが繰り返されるだけの曲なのだが、リフとリフの間を“変態超絶フレーズ”で埋める、ベースソロ曲、インパクト大。

 

[ピノ·パラディーノ]

こちらは音数が少ないタイプだが、何故かすごく印象に残る。[ジュリア·フォーダム]のアルバム『ポースレイン』はプロデュースも兼ねているが、極めて整理された綺麗なアレンジで無駄な音がない、ベースも最小限で特別なプレイはないのにジュリアの素晴らしいボーカルより耳に残るのは僕だけ?。不思議なベーシスト、新種の変態。

 

まだまだベース界に“変態”は居る。

[ジャコ·パストリアス]が発揮できなかったものかもね。