饒舌なベース①

バンドにおけるベーシストのポジションは一般的に地味である。ゆえに評価されにくい。もちろん音楽家ならその重要性はわかっているのだが、目立つ訳にもいかず粛々と仕事する職人、裏方タイプが多い印象だ。

“Pファンク”[ブーツィ·コリンズ]なんかは技量もあり革新的なのに、星形サングラスなどでビジュアルド派手になって目を引いた(Pファンクは皆そうか)。

[スライ&ファミリー·ストーン]の[ラリー·グラハム(グレアム)]はスラップベース(チョッパー)を開発し、ベースもほんの一瞬主役になり得る可能性を示した。

近年の“レア·グルーヴ”ブームのおかげで再評価は著しい、特にファンク畑などはいわゆるスタジオミュージシャンにもスポットがあたる事態に…良いことだ。

 

フュージョン”や“クロスオーヴァー”が席巻していた頃、ベース界にスターがあらわれた。

[ジャコ·パストリアス]

超絶テクニックと絶妙ファンクグルーヴでベーシストの度肝を抜く。ジャコ·フォロワーが増える。テクニックはもちろん凄いと思うが、それよりも“フレットレスベース”の丸い音色と滑らかなフレージングが革新的だった気がする。

“ジャコ”だけが出せるグルーヴで、他の追随者は“バッタもん”感が出てしまいフュージョンブームは終焉に向かったとみる。自身のソロ作も不発といえるでしょう。

[ジョニ·ミッチェル]はじめ、「飼い慣らせなかった“天才”」の一瞬の輝きは[ウェザー·リポート]時代とされるが、「そうかな?」との疑念が拭えない。もっとあった気がしてならない。ベースのバカテクは無用の長物か?

しかし、この天才の起用法は難しいかもしれない。どう活かしたらいいのか…

 

バンド、ユニットリーダーが使いこなせない“ピース”になる可能性を孕んだ不幸な事例。ベーシストは別の抜け道を見つける…

いわく“変態”。