プログレ·シンドローム①

プログレッシブ”とは「進歩的な」「革新的な」という意味で、つまり“プログレッシブ·ロック”は「進歩的な、革新的なロック」ということになる。うーん…

元々は単に“電化”だ。当時(1960年代頃)、ギターやベースの電化をはじめ、出たばかりの“シンセサイザー”などを使った音楽がリリースされ、やはりそれ事態“変化”ではあるので面白くないリスナーは居たのだろうが、そんな保守層に対するカウンターとしてであったり、経済的(演奏者を揃えられない)な意味合いで電化は徐々に浸透して、そのひとつとして電化を積極的に進めた[プログレッシブ·ロック]の様式を形作っていった。

演奏の高度化に加え、詞の題材がそれまでの恋愛モノ中心に比べ、“神話”や“哲学”“SF”を殊更取り上げ、“難解さ”をも売りにした。

それに伴って一曲の長さが伸び、LP片面を費やしたりやコンセプトアルバムが普通になったが、逆に明快で短く不満をぶちまけた[パンク]の台頭もあって、その冗長さや重さが仇となり避けられていく。

 

僕が興味を持ちはじめた頃は、「ダサいジャンル」だった。時代錯誤な、クラシックやジャズへのコンプレックスを抱えた“媚びたぬるい”音楽…そんなイメージが先行していた。確かにそんなのもある。

 

でも、良質な[プログレ]ももちろんあって、実はそのDNA、かなりの影響力で拡散している。“音響”にスポットを当ててエンジニアが重要な役割を担う([ピンク·フロイド]×[アラン·パーソンズ]は有名)とか、ライブにおける“照明”([ジェネシス])など、後世には無視できない分野である。

特に音響面は、[ヒップ·ホップ]や[テクノ][ダブ]の発生を考えると“サイケデリック”~“プログレ”の流れは源泉だといえるだろう。

 

本家イギリスのロック界を飛び出し、ドイツ、フランス、イタリア、北欧、旧東側諸国にまで波及し、“エグい”プログレを創作するようになる。プログレ不毛地帯アメリカですら[ヒップ·ホップ]が主流に…

 

かように、プログレ信者の僕は久々に[ピンク·フロイド]の『狂気』を聴きながら、「あぁ…気持ちいい」と同時に、「月か…」と。原題は

『The Dark Side of the Moon』